(1)会社の寿命は30年
会社の寿命は30年と言われるが、正に「言いえて妙」である。30年も経つと世の中も変わるし、人間も交代してくる。このことが言えるのは中小企業だけでなく、大企業といえども同じである。むしろある面では、傾きだしたら「大企業ほどもろい」ということも多くの例が示すとおりである。言うまでもないことだが、問題は体の大きさではなく、経営に取り組む姿勢や考え方にある。
(2)不景気に強い会社
例えば不景気になると決まって注目される会社がある。つまり、世間の景気は悪いけど、順調な売り上げや利益を確保している会社だ。全体の景気が良い時は目立たないが、悪くなると俄然目立ってくる。こういう企業の共通点はいろいろあるが幾つかを拾ってみると、
①経営理念が明確であること。
②本業に忠実であること。
③研究熱心であること。
④改革を怠らないこと。
⑤人材を育成していること。
等々が挙げられる。どれをとっても大切なことばかりだ。そして、これ等一つひとつは分離している訳ではなくて、夫々の相乗効果で成果を上げている。不景気の時は、このうち「人材を育成していること」が特に大切なようだ。つまり、日頃人材を育てている企業ほど光を発するということである。
(3)団結の力
ここに団結の力で窮地を切り抜けた会社がある。従業員20人規模の印刷会社だ。我が国の大方の中小企業がそうだが、ご他聞に漏れずこの会社も家族的雰囲気の強い会社だ。
得意先の倒産のあおりで抱えた不良債権が売り上げの2か月分。それまで無借金経営ならまだしも、タップリ借金があってのことだ。国・県の制度資金、金融機関のプロパー商品を総動員して資金繰り、経営計画作りで何とか体制を整えたものの、成否の決め手は売り上げ確保。何がなんでも目標達成することが至上命題・・・。 ところでここで、力を発揮したのが「人材」だ。団結の力だ。毎週開く定例会議で足取りチェックと対策検討、分野々々で必死の努力。これの繰り返しで見えてきた明るい兆し。今では後1年頑張れば何とか・・・? というところまでたどり着いた。
(4)節約の3K
「節約の3Kというのがあります。交通費・交際費・広告費・・・、不景気になるとこれが真っ先に切られる。我々印刷業は影響の大きい商売ですわ。ワッハッハッツ・・・」とは社長の話。その裏に余裕が感じられるのも、団結の力が生み出す見通しがあればこそ。「人は石垣人は城」まさに「企業は人なり」を証明してくれた良い例である。
(5)人間をつくる会社
かの経営の神様松下幸之助翁は「人を生かすためには、組織を変えてもいい」と言ったとか?人には夫々添付の才能がある。それは必ず世の為人の為になる。従って会社の役にも立つ。それを生かすためには最善を尽くせ!!ということのようである。そして、それを実行した人でもある。その結果出た言葉であろう。「松下電器は人間をつくる会社である」という言葉は。
国際化、グローバル化が進展する今日、人材こそが企業を支える「力」である。「企業は人なり」・・・今こそ改めて噛み締めたい言葉である。