小話(10)「亭主の落し物」

健太と長介と三造の3人は年始回りの酒に大そうご機嫌だった。中でも三造は、正体もなく酔いつぶれてしまった。三造を健太と長介の2人でかついで帰ったが、背負う方も心もとない千鳥足だった。ようやく三造の家へたどり着いた。「かっちゃ、かっちゃ、三造君だらしなく酔ってまって、そら、長介君と2人で背負ってきたじゃ」と、健太が怒鳴ると、モヨが健太の背を覗いて、「アレアレ、健太さん。うちの人はどこだの?」「着物ばかりかついできて、どうしたのし?」健太、長介もびっくりして、「ほんとだ。確かに三造ば背負って出たが、帯が緩んで、抜け落ちたかな?」「何ですか、頼りがいのない人達だの。うちの亭主を落としてくる人がありますか」モヨはあきれ顔をした。「ちょっと待ってけへ、探してくるじゃ」

やがて2人は四つ角で丸裸で酔っている三造を抱えてきて、モヨに渡し、「おめさまは、幸せな人だじゃ」「なしてし?」「よく、よその人が拾って行かなくてさ」……。 ジャンジャン。

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