「最前線の行政マンと霞が関のお役人」=明日を向いて、故郷を信じて(19)

19 最前線の行政マンと霞が関のお役人=明日を向いて、故郷を信じて(19) 

DSCF6200 住民が苦情や抗議に行くのは市町村役場などな身近な行政窓口がほとんどで、県や国に直接物を申すというのは稀なことです。 都道府県も、政策を展開したり、住民との接点のための窓口を設ける地域振興局や保健所というのもやはり許認可が主体となっていて、不特定多数、一般住民とのやりとりが頻繁というのは余り聞かない話です。 住民が日常目にする公務員の多くは市町村役場の職員でしょうし、霞が関のお役人でもなく、都道府県の職員でもなく、また、小・中学校の教職員でもありません。隣りの「とっつぁん」が農業と兼業している役場だったりするわけです。 その点で東大など、名だたる大学を成績優秀で卒業して霞が関に求められた方々とはやはり違います。

公務員は給与の面では確かに中小企業(大企業ではなく)より恵まれている部分もありますが、報道にも惑わされることがあります。 一般職員と管理職では給与も違います。地方では四十歳中盤でやっと係長という人が多いと思います。かたや霞が関ではキャリアはその年齢ではとうに課長になっています。

公務員の給料表は同じでも等級が違えば額にも差が出るものです。また、地方紙で「○○市は夏のボーナス平均六十万!」と出ます。市民の恨みと妬みの種となる材料です。不親切にも平均年齢を書かないマスコミもいます。採用を控え高齢化が進んでいる平均年齢四十五歳の行政職員六十万と、IT企業で若手中心、平均年齢三十歳の五十万円のボーナスでは、圧倒的に後者が優良企業ですが、「六十万」という金額だけがひとり歩きして公務員バッシングに繋がってしまいます。 銀行や証券会社、外資系企業、大手ゼネコンなどの社員は、こういう話題のときはじっと黙っているのが常でしょう。

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話は戻って、現場の実態が分からず政策だけを立案していく国のお役人もいます。介護○○事業、障害者○○法、市町村合併特例○○など、実情を理解・予測していなかったり、大枠だけを組み立ててそこに後付で肉付けしていく、あるいは修正をかけていくという施策が多くなってきました。法制改革・政策立案という分かりやすい成果をもってどんどん上へ登っていきます。立案した人間が最後まで面倒を見るというアフターケアはなかなかありません。

最前線の自治体では幾度となく変わる法制、国の通知、財政措置に混乱をきたしているだけという状況になります。 ところが今や情報の時代。昔は国の通知を行政職だけが受けて、把握して対応するだけでしたが、近年の情報量と展開はすさまじく、各省のホームページにほとんどの施策と通知文が載っています。 これを見て、自分の自治体の不適当な執行を指摘しない地方議員はいません。

003 過去と比較して膨大な事務処理を強いられている職員は、新たな展開を見据えて仕事をするのではなく、現状に見落としがないか、瑕疵がないかだけを心配している職員になってしまっているのです。そして、市民との方向性に乖離が生じ、市民から見放されていくことになってしまいます。 もう一度、自治体と政策の在り様を真剣に考える時代がきています。

〈松谷範行氏著作:「明日を向いて、故郷を信じて」より〉

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