「仕事のブラックボックス化を考える」=明日を向いて、故郷を信じて(18)

18 仕事のブラックボックス化を考える=明日を向いて、故郷を信じて(18) 

DSCF6200 人件費抑制のために、民間委託を行う。・・・アウトソーシングと称して業務委託や指定管理者制度、市場化テストなどが行われています。人件費以外でもPFI事業などを導入し、行政としてのコストダウンを図ろうとしているところもあります。そこに落とし穴はないのでしょうか。自治体は、その部分の答えを用意しておかなければなりませんが、それは非常にやっかいな問題なのです。

以前、総務省の市場化テストの説明会で自治体の職員から質問がありました。「市場化テストを住民課の窓口に導入したとき、その企業が突然撤退した。市は全てそこに任せていたから突然、窓口業務を再開せよ!と言われても混乱するだけである」。全く私の聞きたかった内容と同じことでした。総務省の答えは?というと、分かりやすく言えば「住民窓口と福祉窓口を市場化テストの対象とした場合、A市が住民窓口を市場化する。福祉窓口はしない。一方、隣のB町はその逆で福祉窓口を市場化し、住民窓口はしない。というルール化をしておく。そうすれば一方で不測の事態が生じても隣の自治体からカバーして貰える。それが広域連携である」とのこと。そんなに簡単な問題ではないと思いませんか。

大手企業、特に製造部門でも問題になっているようですが、請負・派遣による品質劣化や技術の低下、工程の空洞化は顕著な事例となっています。 自治体の業務に例えると、一定の業務を民間に完全に委託するとします。この業務の遂行には一連の流れやノウハウがあり、この蓄積が市職員の間では行われないことになります。民間側は民間ベースでのノウハウや情報の蓄積を行います。

更に、長年民間に任せることにより、本来の自治体の業務でありながら、自治体職員が知りえない業務や対応が出てくることになります。そこでブラックボックス化が生じることになるのです。 業務の一部分を民間に丸投げして、その業務内に自治体側の知りえないルールや流れ、ノウハウのブラックボックス化が生じたとしたら・・・。先ほどの事例のように相手方の撤退などによるトラブルが発生したとき、ノウハウのない自治体側は、その修復に想像以上の時間と費用を費やすこととなるのです。

相手の企業(受託者)もブラックボックス化をしながら、自治体が口を挟めないような状況を意図的につくり、「我が社が明日から手を引いたら自治体は何もできないでしょう?」と脅しともとれる話をしながら、契約金額や経費の吊り上げを要求するということが可能性として残ることになります。 業務に必要なノウハウが完全に相手方に移行してしまい、その効率性や、住民サービスの度合い、質も分からない状況となってしまうのです。自治体が知恵を絞った結果が仇となる可能性を秘めています。

003 また、民間の業務への意欲(市民サービスへの取り組み)も問題となります。であれば、自治体職員あげて現在業務の改善に取り組み、コストも改善し、職員主導で業務のノウハウを蓄積し、高めていくという考えはどうでしょうか。 現状の方向とは逆の考えのように捉えられますが、こうした職員による効率的で高品質な行政サービスというものも簡単に捨ててはいけないと思う今日この頃です。

〈松谷範行氏著作:「明日を向いて、故郷を信じて」より〉

  • イベントが見つかりませんでした

コメントを残す